王滝参戦記

プロローグ

MAP_OTAKI.JPG - 42,744BYTES

MTBの未舗装路を100キロ走るレース。
それが第一印象。

学生時代にMTBレースを少しかじっていたので最初雑誌で見たとき「ありえねぇ」と思ったのを覚えている。自分が出ることは無いと決め込んでいたのだが・・・。

OUTAKI01.JPG - 105,231BYTES

通勤ライドしかしていなかった実家暮らしから、福山に来てから「サイクリング程度に」なんて思っていたのに気がつけばどっぷりつかっていた。それでもMTBレースには少し抵抗があったのだが去年のどろんこ忘年会。膝の故障でほぼ半年全く乗っていなかった割には一人で完走でき、少し自信を取り戻しだしたときに脳裏に「MTBもまだ行けるなぁ」なんて思い出した。3月の雨天の極寒状況で行われた宗谷山:MTB2時間耐久レースに完走し、「王滝行けるかなぁ」と。それでも約一ヶ月悩んだ末に某チーム代表様に背中を押され締め切り日にダメ元でエントリー。それでも心の奥底では自信が無く、どこかで落選を祈っていたがまさかの受理。

そこからは長距離系・耐久系イベントに無謀なまでにエントリー。キャメルバックになれるためにロードの耐久イベントでも背負った。中身も色々試した。石見ライドでは片膝破壊しても何とか完走。12年ぶりに出た蒜山MTBではハードテール&Vブレーキでは今の自分じゃ無理と見切りを付け、7月になって大出血覚悟でフルサス投入を決意。全ては王滝に向けて。

Race -2day

この日仕事で慣れないプレゼンをすることになりダラダラと資料作りをし、睡眠不足。
それでも何とか乗り切り(うけ狙いでごまかした(笑))、終業後ハイテンションでケンズにMTBを預けに。店には既にN田さんが積み込みを始めていて、少し手伝う。

OUTAKI02.JPG - 28,219BYTES

この時点でリヤのエアが抜け気味だったのを気がついておけば・・・。積み込みは見ていて「こんなに物資が積めるわ・・・」と驚く(翌日見たら更に自転車二台と鞄追加)。

家に帰っても何か落ち着かず、ローラーを30分ほど回して(近所迷惑だ)就寝。
天気予報は。どうにでもなれと・・・。

Race -1day

4時起床。最終チェックに手間取り、急いで60リッターザックを担いで行くも合流時間に少し遅れる。(あまりの荷物の多さにS谷さんに山登るんかと言われた)。

OUTAKI03.JPG - 39,429BYTES

福山東の7-11にいると続々とメンバー到着。ここから長野への民族大移動。山陽道の間は雨以外は順調だったのだが、実家(中国宝塚付近)を過ぎたあたりから車間が詰まりだし、吹田を超えたあたりから渋滞。雰囲気の悪くなる車内。しかしS谷さんが探し求めていたモノが。元関西人である私にはすぐにわかった。そう毎日放送1179〜ありがとう浜村淳です〜だった。そこで語られているのは某映画。普通の評論家ではあり得ない前編ネタばらしを超えた語り。全てが語られる頃には渋滞を抜けていた。その後は順調。流石に3連休と言うこともあり、何処のSAも人一杯。昼飯喰うのも一苦労であった。そんな中S谷さんはせっせと餅を買い占めていた。補食にするとか。流石です。

中津川を降りる頃には自転車を積んだ車も増え、少しずつ会場が近づいてきた感じが。同時に雲が立ちこめてきた。泣く泣くDNSの某雨男チーム代表様の神通力のなせる力に違いないが、杞憂に終わる。そして会場入り。写真でしか見たことのない噂の王滝御殿(仮称)を見たときは「遂に来たぞぉ〜」と感動。(別行動のS政さんの車を見つけるも会場ではついにはあえず。)

OUTAKI04.JPG - 35,229BYTES

早速受付し、パワースポーツの軍門に下った証のステッカーを見せジェルを貰う。
だが私の今回のジェル系補食は全てカーボショッツ。なんか優越感〜。

出店を少し回るもあんまり良い物がないなぁ〜なんて思いつつも私は小物を購入。みんな貧乏が悪い。

その後、一度宿に移動。宿までの坂道を車で見ていて「ゴール後ここを自走か」と思うとちょっと憂鬱に(後に現実に)。

例年我がチームケンズがお世話になっている大又山荘は民宿群が立ち並ぶ道路沿いではかなり位置の高い場所にあった。部屋に荷物投下すると各自自転車の組み立てと調整開始。M永さんは早速パンク修理でタイヤ交換。Y口さんは購入後ほぼ無調整でポジションなどをメンバーに聞いている状態。しかし早速ジャージに着替えて走る気満々の方が数人。流石です・・・。

OUTAKI17.JPG - 81,113BYTES

自分は後輪の空気圧低下しているぐらいだった。このときちゃんと対処しておけば・・・。

OUTAKI05.JPG - 49,426BYTES

そうこうしているうちにS政さんも合流して開会式のため再び王滝御殿へ。開会式では村長の自虐ネタやありがたいトップライダーのお話など。補給の話(40分置きにジェルを流し込む)は大いに参考になったが私は予習済み。この後のパワージェルの売り上げはさぞかし良かっただろう。

OUTAKI18.JPG - 38,875BYTES

OUTAKI19.JPG - 42,462BYTES

その後のジャンケン大会。我らがチームケンズはS政さんがツールボトルを獲得。もっとも他は負けてばかりだったが。

OUTAKI20.JPG - 27,421BYTES

解散後は各々宿に戻っていく。が、私はここで道を間違え20分ほど彷徨いなんとか宿に戻る。そうこうしているうちに皆で夕食。酒は控えめだったはずだが、班長はいつも通り飲んでいたような。流石である。

雑談そこそこに10時頃就寝。好天を祈りつつ夜は更けていく・・・。


Race Day

4時頃起床。当初の予定ではおにぎりだったが、宿主の好意に甘えちゃんと朝食を頂く。この時点で4時半のスタートの位置取り合戦には敗北。ま、しょうがないか。

5時頃宿を出発。まだ暗い中ライトを頼りに降りていくがまたしても私はコースミス。土手に降りる道を間違え1キロほど無駄に体力消耗するも無事会場着。現地ではローラーを回している選手もいるが「100キロ走るのにいらんやろ〜」としか思えなかった。

会場では既に長蛇の列。自転車の位置取りもそうだがトイレ待ち渋滞も凄い。私は行かなかったけどね。

OUTAKI06.JPG - 42,360BYTES

メンバーで写真撮ったり、いらない装備外したりしているうちにいよいよ神主の祈祷の後に6時3分。定刻より3分遅れで長い旅が始まった。

OUTAKI07.JPG - 57,459BYTES

OUTAKI08.JPG - 66,566BYTES

町内をパレード(但し登り)をしているときは道中MTBだがグランツールのようで感激。おばちゃんらに手を振りながら行くといよいよダート開始。ここからが本番。やがて斜度が上がるにつれ立ちゴケが続出。完走できそうにないなぁなんて人ごとであったが、自分もラインを外さないよう走るため気が抜けないが、身体にしみこんだMTB経験がちょっとは役に立っていた。

いきなりの600mアップの後に下り始めると見慣れた蛍光イエロージャージが。先行していたはずのS谷さんだ!。ガレ場でタイヤを切ったようで早くもパンクした様子。だが構わず先行。思っていた以上にがれており気が抜けないが、流石はフルサス+ディスクブレーキ。自分が思っている以上のペースで坂を下れている。そのままの勢いで登ったり降りたりを繰り返して第一チェックポイントへ。補給も時間通りに行えており思った以上に水が減っていないので止まらず先へ。下りを終え唯一の平地である湖のほとりを走っている頃から違和感が。明らかに平地なのにペダルが重く何かを引きずっているかのようであった。一度気にし始めると疲労感が襲い始め、登り始めるとパンクで止まっていたS谷さんに追いつかれる。本人曰く「サイクリングを満喫している」だったが、スピードが違いすぎあっと言う間に見えなくなる。

少し下った後、いよいよ無限坂(仮称)へ。ネットの参戦記を散々読んでいたが実際に見ていてその謂れがわかった。ずっと先の山道が見えておりしかも先行している選手が見える。何処までも続いているかのよう。脳内では車田雅美の打ち切り漫画「男坂」のラストシーンがダブって見えた。

SAKA.JPG - 69,812BYTES

路面状況はガレガレ。S谷さんに「剣山スーパー林道なんて舗装路」と言われたのがよくわかる。あまりにガレ過ぎて何処を走って良いのかわからないような場所とかあり、疲労し始めた脳ではラインが読めない。更に空気圧の高すぎたFサスは衝撃を吸収せず腕上がり、疲労のため座って下っていたツケで尻が痛い。さらにはリアタイヤのグリップがおかしく踏ん張らない。疲労のしすぎで止まって空気を入れる発想も出てこない。止まったらもう二度と走り出せそうにない様な気がした。

それでも少しずつ進んだ結果無限坂も終了、よれよれのタイヤとヨレヨレの空で坂を下り第二チェックポイントへ。

OUTAKI09.JPG - 74,814BYTES

ここでは多くの選手がへばっており、もれなく私も仲間入り。激烈に甘いTOPTENを飲んだり(幸い鼻血は出なかった)、水をくんだりしているとY口さん到着。下りはかなり怖い思いをしている様子。入れ違いに出発するもタイヤのヨレからあまり旨く走れない。インナーローでとろとろ行っているとY口さんにあっと言う間において行かれてしまった。ふと風景を見ると大変勇壮な御嶽山が広がっていた。写真を撮る余裕は私にはなかった・・・。止まったら気持ち的に再スタート難しい。

そうこうしているうちにTOPTENがきいてきたのかようやく空気を入れることを思いつき実行。ポンプのメーター読みで2.0気圧ぐらいしかなく、しかもなかなか圧があがらない。どうやら低圧で走り続けた結果リムを打ってしまい少しずつ空気が抜けているようだった。幸い完全にエア抜けしているようではなかったのでチューブは入れず3.0気圧ぐらい入れて走行開始。あぁ修理代が高そう・・・。

第三チェックポイントが近づくにつれ、砂利が深くなってきて何とか走っていたが、某自転車専門誌のライターが立っていたのを見た瞬間

ずさー

とやっちまった。


幸い軽く膝と肘をすりむいただけで自転車にはダメージはなくすぐに第三チェックポイントへ。

OUTAKI11.JPG - 51,238BYTES

マキロンを少しシュッシュしてすぐに走り出す。コンクリートの激登りの後はこれまでに比べるとなだらかな登り。大体同じような脚の選手と互いに励まし合いながら走りゴールを目指す。置いていかれる方が多かったけど。

そうこうしてるうちに気がつけば最後の下りに入っていた。早くも後輪の空気圧が下がっていたが最後まで持つと全く根拠のない判断で走り続ける。振動地獄から解放されるために・・・。

やがて傾斜が緩くなり始め雰囲気的にゴールが近いことに気がつく。
ダンシングでペースを上げたかったが後輪のヨレが酷く。シッティングで漕ぎまくる。やがて橋の向こうにテントと選手の群れが。やっとゴール。今期のどのレースよりも腕を何度も振り上げた。タイムなんて見ちゃいない。取り合えず空いた隙間にへたり込んだ。もう大満足。全身が悲鳴を上げていたが達成感があふれていた。100キロを共にしてきたEPICはドロドロ。跳ね石でキズまみれ。多少のセッティングの詰めの甘さで苦しんだが、もう終わったこと。文字通りセルフディスカバリー。このレース(苦行?)で自分自信にもう少し自信が持てたような気がする。

OUTAKI12.JPG - 31,906BYTES

OUTAKI13.JPG - 59,063BYTES

時間が経つにつれて少しずつ周りを見る余裕が出てきてようやく自分が目標にしていた8時間を切っていたことに気がつく。ついでに飲み残したジェルや隠し持っていたサラミをほおばる。サラミ塩辛い・・・。その又ついでに横にいた某自転車部品企業社員チームにネタ写真を撮って貰う。流石関西人、ノリが良い。構図やポーズもばっちり。

OUTAKI21.JPG - 46,308BYTES

 

そうこうしているうちにO久保さんが横切る。どうやら第二チェックポイントでリタイヤした様子。それでも迂回でかなりの距離を迂回した様子。完走するのも勇気が必要だけど余力を持ってリタイヤするのも勇気。O久保さんはそのまま帰ったが私はもう少し余韻に浸ってから帰路に。リヤタイヤはかなり圧が落ちており良く完走できたなぁというレベル。チューブレスではもう使えないなぁ。王滝御殿は素通りし、宿に向かうもまたしても道を間違える・・・。疲労困憊の身体には辛う御座いましたよ。

宿に帰る道中は既に終えた参加者が車に積んだり、洗ったりしており声を掛けながら宿へ。途中S谷さんが車で他メンバーの回収に行くも自力で宿へ(乗れば良かった)。

気力を振り絞りEPICを洗い流す。泥まみれ傷だらけだったがMTBらしくなっていた。

風呂からあがると疲労からすぐに寝てしまい、気がつけば夕食。他のメンバーも身体は疲れ切っていたが、生き生きとしている。あまりに現実離れしたレースに現実感がないとはY口さんの話。石ころばかり見ていて御嶽山に全く気がついていなかったM永さん。見た目疲れていないS谷さんなどなど、参加者それぞれ思い出を語っていた。

部屋に帰るとジャンクスポーツをつけていたものの意識朦朧。9時の消灯後に寝始めたが私はあまりに疲れていたためかよく眠れませんでした・・・。


After Race Day

ごそごそと皆起き始め、それぞれ散歩やらストレッチやらをしている。皆身体の節々が痛い。外は福山じゃ考えられないほど寒い。だが澄んだ空気が気持ちよかった。

朝食をとり、自転車や荷物を積み込んでいよいよ出立。

OUTAKI14.JPG - 50,397BYTES

早くも「来年も来ます」とおかみさんに告げたS谷さんだった。私?もう少し考えさせて・・・。

OUTAKI15.JPG - 33,881BYTES

御嶽山が見えるという位置まで行くも雲が被り残念ながらお預け。昨日見ることが出来なかった某氏は来年も参加する理由が出来たようで。

中山道を下り馬籠宿へ。石畳の古い町並みを堪能し帰路に。

OUTAKI16.JPG - 27,446BYTES

農民になる人も・・・。

OUTAKI22.JPG - 36,599BYTES

 

雨以外は何事もなく18時頃福山へ。それぞれの日常へ帰って行った。


しかしほんと、あまりに非現実的すぎて数日前の出来事だとは思えないなぁ・・・。